監査法人・会計事務所

2016年4月19日 (火)

不正事例の研修 

昨日は、午前中に顧問先を訪問して、当面の経営課題についての討議や経理処理についての質疑応答を行った。

午後は、顧問先を2軒訪問して、いずれも決算に関する打ち合わせなど。

---------------------

【不正事例の研修】

今朝の日経新聞に、新しく公認会計士協会の会長となった関根愛子氏への取材記事が載っていた。

「不正事例の研修 会計士に義務化」(日経新聞より)

ネット上の紙面ではリンク先が検索できなかったが、監査を担当する会計士に対して「不正事例の研修を義務付ける」という方針を打ち出したという。

「えっ?」と思った後に、「まあ、そうか」とやや納得した。

「えっ?」と思ったのは、そういう研修ってしないのか、という単純な疑問。

私が今、鳥取環境大学で「監査論」の講義しているが、そこではできるだけ不正事例の紹介をするようにしている。

不正事例には、「こんな偉い人が・・」とか、「こんな近所でもあるのか・・」というくらい、身の回りにはお金にまつわる不正があふれており、枚挙にいとまがないほど。

それは、人間の性(さが)ともいえるもので、目の前に大金を積まれたときにスッと手が出てしまわないことは、ある程度、思考の訓練というか、そういうしつけがなされていないとダメなのだ。

日本はまだマシで、外国へ進出した企業の話を聞くと、ちょっとした不正なら、オンパレードの状態だとも聞く。

それくらい、身近なところから、大企業の偉い人まで不正を犯してきたのが監査の歴史でもある。

その貴重な歴史を学ぶことは、とても有用な勉強になるが、会計士になると、実はそういう勉強よりも、どうやって監査するか、つまり監査手続の習得が優先して、不正事例にあたることが無いことはあり得えたと思う。

ましてや優良企業の監査に携わっていると、そうした観念が頭の中から抜けていくことに監査人自身が気づけないこともあるだろう。

あの優良企業と思われた東芝でさえ、そうだったのだから、どんな企業でちょっと気を抜くと不祥事が出てしまうものだ。

米子市役所だって・・・、やめておこう(苦笑)。

| | コメント (0)

2015年12月21日 (月)

処分

金曜日は、事務所で10月決算法人の税務申告書の作成。

先週でだいたい忘年会のピークも終わり。

深夜、タクシーがなかなかつかまらない状況というのも大変だったが、まあそれだけ街に人々が繰り出しているということでもあり、いいことだと思う。

景気は、二極化の傾向は強まっているが、全体としては少しずつ良くなっているんじゃないかという感じはする。

全体的に盛り上がるというのは、10年前の小泉政権のころからもう無い。

全体的な盛り上がりにつなげるためには、利益の配分の仕方、あるいは個々の努力が必要なのだろう。

--------------------

【処分】

東芝の粉飾決算をめぐり、東芝への処分に続き、監査を担当した新日本監査法人にも処分が下されることになった。

金融庁、新日本監査法人に一部業務停止命令」(読売新聞)

処分はそれなりに重たいものであり、トップは引責辞任するという。

また、新規顧客向けとはいえ一部に業務停止命令が下ったのは2006年のカネボウの粉飾決算のときの中央青山監査法人以来だという。

「20億円」という課徴金も、監査法人という「人」しかない組織にとっては、だいぶ厳しいだろう。

一つ思うことは、これまで「手続」さえきちんとやっていればそれで済むという風潮がなかったかどうかだ。

監査というのは、正確に言うと結果に対して責任を負わない仕組みがあって、プロセスの手続きさこなしていれば、問題とならないという考えがある。

しかし、今回は、ある意味で結果責任のような様相も垣間見れる。

その「手続」が、どこかで不祥事があるたびに厳しくなり、無駄にめんどくさい手続ばかりで若手スタッフは疲弊している。

その繰り返しだった。

あんなに無駄にめんどくさい手続をやっても、結果として見落としがあれば処分される。

監査のやり方、責任の取り方が今のままで良いのか、検証すべきだろう。

不正もまた人間のやることなのだから、いかに会社の人たちに向き合って仕事するかではないかと、古巣のへの処分に教訓をもらったと思っている。

| | コメント (0)

2015年11月19日 (木)

東芝と監査法人と国家試験

昨日は、午前中に9月決算法人の税務申告書の作成など。

昼を前後して、商工会議所青年部の四役会、理事会。

午後は、顧問先の方のご来社が2件。

当面の経営課題についてのご相談など。

---------------------

【東芝と監査法人と国家試験】

東芝の粉飾決算事件は、これで幕引きとなるのか、それともまだ何かあるのか。

役員の(甘めな)処分の状況を見ていると、何だかすっきりとしたものが無い点がちょっと引っかかる。

担当していた監査法人については、処分が下りそうだ。

東芝担当の新日本監査法人、処分へ…金融庁」(読売新聞より)

処分は仕方がないが、監査人としていろいろと難しい状況があったのは推測できる。

先日は、原子力発電所を製作する子会社(ウエスティングハウス)の減損未処理も明らかになった。

これについて東芝側は「事業部門全体としての収益性が確保されているとの観点から、連結ベースでは減損損失を計上していない」との見解を示した。

平たくいうと「見積もり」の世界の話だから、将来見通しを含めて「何とかなります」と一応、根拠も示して説明すれば通るということだ。

これは、監査人側からしても非常に難しい。

ルールはそれで良しとしているから、会社側に押し切られることはありうる。

ありうるが、投資家がそれで納得するかはわからないし、後で見通し達成が困難になったとき、世間から向けられる厳しい視線は免れない。

そういう世界ですわ。

そういう世界だからかどうかはわからないが、公認会計士を目指す学生も減少傾向だ。

公認会計士合格者数、8年連続減…学生が敬遠」(読売新聞より)

少子化もあるだろうが、減少はそれ以上のペースだ。

もちろん、減るのは全然かまわない。

いろんな学生がいて、国家試験を目指す学生もいろいろだから、こうした就職が容易な時世に国家試験をあきらめる学生がいるのは、私が会計士を目指していたバブル期の末期の状況にも似ている。

あの頃も、バブル華やかりし時代で、学生の就職は売り手市場で、国家試験を目指すなどばかばかしいという空気があったそうだ。

でも、そこで受験勉強に残る学生は、いわば本気でこの業界を目指す学生だから、受験者の母数が減っても合格まで成し遂げる学生は、本気の学生ばかりだから、それはそれでいい。

日本の制度の悪い点は、国家試験を目指すことでしか、本気で会計を学ぶ機会が少ないことだろう。

社会人なって、必要に迫られて勉強する人は全然いいのだが、それもしないでビジネスしている人の多いこと。

世の中がどういう状況になろうが、東芝が粉飾して会計士が処分されようが、会計は社会のインフラだから、学生さんには学ぶ機会をぜひ持っておいてほしいと思う。

| | コメント (0)

2015年8月20日 (木)

機械に奪われそうな仕事ランキング

昨日は、午前中に顧問先を訪問して、当面の経営課題についての討議。

昼を前後して、商工会議所青年部の理事会に出席。

午後は、事務所にて6月決算法人の税務申告書の作成や、諸々の調べものの片づけなど。

--------------------

【機械に奪われそうな仕事ランキング】

今週の週刊ダイヤモンドで、「息子・娘を入れたい学校」という特集が組まれている。

その中で、「機械が奪う職業・仕事ランキング」というアメリカの調査結果が掲載されていた。

機械が奪う職業・仕事ランキング」(リンクはダイヤモンドのサイト(登録会員限定))

そのランキングの2位に、公認会計士が載っていた。

1位は、小売店販売員だそうだ。

「なるほど、そうか」と思った。

機械が合理的で、コストパフォーマンスが高いなら、そりゃ奪われるだろうな。

私が監査法人を退職するころから、公認会計士の行う監査業務は、マニュアル化が進み、誰がやっても同じ結果が出るように仕事が標準化されてきている。

私が入社した当時は、まだベテランの会計士がそのベテランの“勘”を利かせて、重点的に見るべきところなどを選定する慣習が残っていた。

しかし、それだと担当者によって、仕事の成果がまちまちとなり、ひいては監査の見逃しが頻発したのが1990年代後半から2000年代前半だった。

その反省を踏まえて、仕事のマニュアル化を進めたのだが、誰がやっても同じとなれば、やがては機械ができるようになる部分も多いということでもあろう。

東芝の事件だって、マニュアル通りにやった結果だろう。

だから会計士が処分される可能性は低いだろうが、仕事のパフォーマンスとして、だったらスコアリングモデルを作って機械に任せれば、最低レベルの仕事は保証できるだろうし、見逃すものはやっぱり見逃すだろう。

そういう仕事になってしまっているんだろう。

サービス業に、50年も同じ仕事というのはほとんどないのだろう。

時代の流れや道具の発達、考え方の変化によって、仕事は変わっていくもの。

残るのは、何ものにも代えがたい技術だとか、匠の技。

それ以外は、新しい物に取って代わられると心得ておきたい。

だから、こういうランキングが出ても、残念とは思わないし、自分も変わっていかなきゃという動機づけになる。

そういえば、独立して会計事務所を始めたとき、もし他に有望な仕事があればいつでも転職してやろうと思ったものだった。

たまたま会計事務所で食えるようにはなったが、ランキングにあるように、いつまで需要があるのかわからない部分がある。

何かに取って代わられるという意識はあるが、地域経済の中では、実際には意外にその変化はゆっくりしているところもある。

いずれにしても、変化を味方につける考え方を持っていたいものだ。

| | コメント (2)

2015年7月22日 (水)

監査人の責任

昨日は、午前中に顧問先を訪問して、決算に関する報告など。

午後は、別の顧問先を訪問して、当面の財務上の課題について討議。

----------------

【監査人の責任】

東芝の不適切会計事件の全容が第三者委員会によって発表された。

今朝の新聞各紙が伝えているので、内容は省略するが、いつまでも「粉飾」ではなく、「不適切」程度の言葉しか使わないので、なぜかと思っていたら次のようなことだった。

「不正」とは認定できないが、しかし、単なる「誤謬」(あやまり)でもないので、「不適切」というのが、第三者委員会の話のようだ。

過大計上 「会計用語では不正」・・・東芝第三者委』(読売新聞)

法律の世界では、「不正」は犯罪だから、犯罪まで行かないのならそういう表現はしないということだが、記事にある通り、会計の世界では虚偽記載そのものが不正だから、本当は区別などしないのだが、まあそういうことなのだろう。

郷原弁護士が指摘するように、第三者委員会は監査法人に「大甘」かもしれない。

「かもしれない」と書いたのは、中身が私にはわからないから、想像で書くしかないからだ。

監査法人に大甘な東芝「不適切会計」第三者委員会報告書』(ブロゴスより)

オリンパス事件、IHI事件など最近の大きな事案に新日本監査法人が関わっている。

シェアが大きいからそうなるのかもしれないが、もともと新日本監査法人はぬるま湯体質があった。

私の古巣ながら、今でもそういう体質が残っているのかもしれない。

私が所属したチームは例外的に厳しいボスのもと、厳しい仕事を強いられたが、今となってはそれが良かったと思っている。

他部門で粉飾決算事件が起きたとき、私の当時のボスは、「仕事を怠けた天罰だ」と、そうつぶやいたのを聞いたことがある。

そういえば、私の師匠も、他の監査法人が大きな粉飾決算事件で消滅したとき、「監査をなめた報いだ」というようなことを言われていた。

新日本は、昔から優良顧客に恵まれていた。

その優良顧客の中でも東芝は群を抜くだろう。

その優良顧客からまさかの事件が発覚した。

私は中身はわからないが、世間から郷原弁護士のような見解が出るのは仕方がないと思っている。

それが監査という仕事の職責だろう。

最近の監査は、手続重視の監査になりすぎているように思う。

大局的な分析や判断ができていないのではないだろうか。

手続さえできていれば、結果責任を問うものではないので、なおさら手続が重視される。

そんなことでいいのだろうか。

これが、東芝不適切会計事件の感想だ。

| | コメント (0)

2015年5月22日 (金)

不適切会計と株主資本主義

昨日は、午前中に事務所で3月決算法人の税務申告書を作成。

鳥取市内へ移動して、昼から鳥取環境大学で、「監査論」の授業。

その足で、鳥取県庁へ向かい、米子商工会議所青年部の役員と一緒に平井知事を訪ねて、役員就任のあいさつなど。

米子に戻って、事務所で3月決算法人の税務申告書の作成の続き。

夜は米子商工会議所青年部の例会に出席。

--------------------

【不適切会計と株主資本主義】

鳥取環境大学の監査論の授業では、なるべく「生きた教材」、つまり日々のニュースの中から、監査に関係する話題をピックアップして、学生たちに紹介するようにしている。

そうしてみると、世の中は不適切な会計のオンパレードだな、と思うところもある。

不適切会計、14年度最多の42社 製造業で海外子会社目立つ」(日経新聞)

東芝の事例は、監査人も難しかろう。

工事進行基準の監査は、その進捗の見積もりにあたっては、会社情報を信じるしかない部分は多々ある。

まだ発注者に引き渡していないのだから。

東芝の監査法人は、私の古巣ではないだろうか。

そういう監査人の苦労も伝えられたらと思う。

しかし、そうした倫理的な話だけではなく、不適切な会計につけ込む人たちの存在も学生には教えていこう。

サーベラス 日本の陣容を大幅縮小」(ロイターより)

監査は、監査だけで終わらない。

不適切会計の後には、牙をむく株式資本主義の実態を目の当たりにすることもある。

西武鉄道の粉飾決算は、まあ、確かに問題はあっただろうが、その代償の大きさに閉口し、憤りを感じたものだった。

日本を代表する資産家も、この事件で失脚した。

ハゲタカの代表のようなサーベラスも、いよいよ日本を去るというのは、なかなか感慨深いし、西武鉄道の案件では、かつての長銀→新生銀行のような莫大な富の流出をもたらしたハゲタカ案件のようにはいかなかったようだが、それは関係者の努力もあっただろう。

日本が「株主資本主義」とは何かを学んだ案件だったように思う。

| | コメント (0)

2014年10月23日 (木)

職業観 ~隣の芝生は青い

昨日は、午前中に顧問先を4軒訪問。

経理処理に関するご相談や、申告書類の受け渡しなど。

午後は、米子東高校にて1年生を対象とした総合学習の講師を務め、公認会計士の仕事について話をしてきた。

数えてみたら、今年でこの仕事も8年目となった。

過去に話をした生徒の中には、大学に進学後、公認会計士を目指しているという生徒もいるようで、少しでも進路について役にたてられたのならうれしい限りだ。

---------------------

【職業観 ~隣の芝生は青い】

昨日、母校にて職業紹介の講師を務めてきた。

数えてみると、この依頼を受けるようになって、もう8年になる。

「伊木さんの話を聞いて、公認会計士を目指すことにしました」などという話を人づてに聞くと、話しをした甲斐があったかなと思う。

反面、これまで様々な職業の人たちとお付き合いしてきて、「おもしろそうな仕事だな」と思うこともしばしばあるので、若い人には、もし別の機会に別の職業を知る場があれば、積極的に行ってみることをお勧めする。

しかし、結局のところ、最後は一つに絞ることになるのだが、いつまでも「自分探し」的に、いろいろな職業を転々とする人も中にはいる。

私がもし、生まれ変わって再び職業を選ぶところからスタートするなら、公認会計士とは別の職業を選ぶかもしれない。

世の中に、おもしろそうな仕事はたくさんあるからだ。

ただ、逆に私の職業をうらやましいという人もいた。

お互い様なのだろう。

「隣の芝生は青い」というが、自分の職業については良いところも悪いところもよく知っているので、どちらかというと悪いところが目に付いてしまう。

しかし、他人の職業は、良いとこばかりが目に入りがちになってしまう。

いろいろ職業はあっても、最後は一つに絞って、その職業をまっとうできるか。

私は今後もこの職業で食える限り、続けて行くと思うが、若いうちは、ある程度迷ってみて、「これだ」と決めたら一心不乱に努力してみたらいい。

それが、私からのメッセージ。

もうすぐ、理系か文系かの進路選択の時期がくると聞いたが、若い人たちには心からエールを送りたい。

| | コメント (0)

2013年10月16日 (水)

監査法人の原点 

昨日は、公認会計士協会の研修で、東京へ出張。

帰りの飛行機は、まさかの台風接近で、フライトが危ぶまれたが、無事、最終便で米子に帰着。

ニュースによると、26号は「今年、最大級の台風」なのだそうだ。

確かに、26号は関東地方を通り過ぎているはずだが、昨晩から米子も強い風が吹き付けていて、今朝もまだ暴風圏だ。

10月も半ばになって台風なんて、かんべんしてくれ、という感じだ。

-------------------

【監査法人の原点】

出張の合間に書店に寄った。

いつもの新宿・紀伊國屋書店。

ときどき大きな書店に行って、話題の本などを手に取って見ていると、時間を忘れてしまう。

新書のコーナーで、「監査法人の原点」(小笠原直著 欄外のリンクを参照)という本が気になって、買ってみて、帰りの飛行機の中で読了した。

10年ほど前から、いろいろな制度改正が相次ぎ、会計業務そのものが変質している。

それにともなって、公認会計士の思考も保守化して、企業の成長していくパワーをそいでしまっているじゃないか、というのが前段の主張。

まったく、そのとおりだと思った。

著者は、公認会計士として、そんな業界の姿勢に疑問を感じ、自ら監査法人を立ち上げた。

この本は、その監査法人の宣伝広告の要素もあるだろうが、度重なる制度改正で公認会計士は公務員化した、などという主張には「なるほど、その通り」だと思わざるを得なかった。

ちょうど私が在籍していた10年ちょっと前、仕事がどんどんマニュアル化していき、やりたいようにやらせてもらえなくなった。

自分の力を試したいと思って、監査法人を飛び出したわけだが、元来、公認会計士は、この本の著者が言うように専門知識を背景とした自由職業人だ。

自分が身につけた専門性をもって、お客様の役に立つことが、もっと出来るはずだと思う。

「監査法人の原点」という本を読んで、自分の原点を確認させてもらった。

| | コメント (2)

2013年3月 8日 (金)

目指すべき道は・・・

昨日は、午前中に顧問先を訪問。

確定申告の打ち合わせなど。

午後は、別の顧問先を訪問。

決算に関する打ち合わせなど。

その後、事務所に戻って確定申告の仕事や1月決算法人の税務申告書の作成など。

----------------------

【目指すべき道は・・・】

先日、訪問した顧問先でちょっとうれしい噂を聞いた。

その方の知人の話だが、今春、大学に合格したばかりのそのお子さんが、「進学したら公認会計士を目指す」と言っているのだそうだ。

きっかけは、高校で私の話を聞いたからだそうだ。

かれこれ6年間も、私は母校で公認会計士の職業紹介をしてきた。

そのたびに、この仕事のマイナーぶりを痛感していた。

なぜなら、300人以上もいる1年生のうち、公認会計士の話を聞きに来るのは、せいぜい10人ちょっとだからだ。

それでも、聞きにきた10人の中から、少しでも多くの高校生が何か目標を持って頑張れるといいと思って、自分なりに一生懸命話をしてきたつもりだった。

だいだい会計なんてのは、資本主義社会の一般教養でないとダメだと思っている。

これを知っている人が「専門家」なんてのは本当はおかしい。

もっと広く、会計の知識が広まれば、それは地域経済にとってベースとなる知的基盤になる。

多くの地元の人たちが、「地域経済の活性化が大事」みたいなことを言われるが、そこに何等かの知的基盤がなければ、活性化などできない。

ソフトバンクみたいな狡猾で獰猛な資本主義のプレーヤーに赤子の手をひねるようにやられてしまう。

それをカバーするのが会計の知識であり、彼らにとっての一般教養が、この地域の幹部たちに足りていない。

だから、少しでも多くの学生が、この会計という一般教養を学んでから社会に出てほしいと思っている。

 

公認会計士の業界は、今年1月の第一回短答式試験で、受験者が激減している。

平成23年度の第一回が17,000人、平成24年度の第一回が13,000人、今年が9,900人だったのだそうだ。

明らかに、公認会計士協会の政策ミスが原因である。

合格者数を大幅増にした反動で、就職できない公認会計士の問題がクローズアップされた。

結局のところ、合格者を絞ったため、再び狭き門となり、受験者も激減した。

ただ、こうした政策ミスは大人の責任だが、本当に目指す人にとっては、まったく関係ない話と受け止めるべきである。

業界の動揺の中で、受験をあきらめる人は、きっと別に道のあった人だと思う。

目指すべき道がはっきりしている人にとっては、こうした業界の問題は関係なく受かっていくし、また仕事もきちんとしていく。

いつも高校生には、業界の実情を率直に話したうえで、「そんなの関係ないからね」と、話している。

「なりやすいからなる」ではなくて、「やりたいから目指す」でないと、どんな道でも成就しない。

ちょうど今、受験シーズンたけなわだが、若い人にぶれずに頑張ってもらうのは、大人の責任なのだと思う。

| | コメント (8)

2012年7月 9日 (月)

監査法人を叱る男

金曜日は、監査委員の仕事で県東部の出先機関などを訪問。

----------------------

【監査法人を叱る男】

昨日の日曜日は、米子ホープタウンの創業30周年祭に出かけてきた。

店内はたくさんの人でにぎわっていた。

ホープタウンができて30年か。

私は子供のころの記憶に、ホープタウンができる前、あの場所にゴルフの練習場があったことを覚えている。

ホープタウンのオープンは、地域にとってかなりの衝撃だったことも覚えている。

休みの日になると、友達を誘い合ってホープタウンに出かけ、ゲームコーナーで遊んだことも懐かしい思い出だ。

 

そのホープタウンで、昨日、子供たちに本でも買ってやろうと、店内の本屋さんに立ち寄ると、いつものことだが、私は子供たちのことを忘れ、目の前にならぶ本にくぎ付けになった。

昨日、そこで手にした本は、「監査法人を叱る男」(早房長治著)(欄外のリンク参照)。

サブタイトルに、「トーマツ創業者 富田岩芳の経営思想」とあった。

「(あれ、監査法人トーマツの創業者は、等松農夫蔵先生だろう。いつの間に富田氏が創業者になったのだ?)」と思った。

最初は買う気はなかったのだが、ぱらぱらとめくっていると、わが師匠である川北博先生の名前が出てきた。

川北先生こそ、トーマツを国際会計事務所として“世界のトーマツ”に引き上げた立役者だろうが、富田氏の側から書けば、富田氏こそが“創業者”であり、立役者ということになるのだろう。

それ自体はいいのだが、本の中には、「富田と川北の因縁」(P.160)という言葉が出てくる。

そういば、川北先生とお話をしたとき、富田氏の名前が出てくると、先生の表情が曇ったのを思い出す。

富田氏は海軍経理学校出身の元海軍将校。

川北先生は、陸軍士官学校卒業の元陸軍将校。

見るからに合わなそうなお二人だ(苦笑)。

トーマツというのは、要するに二人の元軍人が作り上げた組織ということになる。

だから、厳しい組織風土なのかと、妙に納得した感があった。

ちなみに、私が所属した新日本監査法人(旧太田昭和監査法人)は、太田哲三先生という一橋大学の元教授が興した日本で最初の監査法人だが、一橋を卒業した太田先生の弟子がたくさん財界に散らばっていたので、有名企業がたくさんクライアントに名を連ねたと聞いた。

そうした“体質”の国内系監査法人が、富田氏から見ると“ぬるま湯”であったということは当たっている面もあったと思う。

ただ、そうした太田先生に対しても、川北先生が尊敬の念をもって接しておられたのに対して、富田氏にすれば批判の対象となったわけだが、どちらのリーダーに人が着いて行ったか、結果を見れば一目瞭然というところか。

富田氏は、結局のところ、トーマツが世界に出るころには経営陣から外された。

それでもなお、外からトーマツを支えようとする姿は、立派ともいえるが、見方を変えれば、“うるさすぎるOB”にもなるだろう。

川北先生の引き際と、これまた好対照だ。

 

「早く来るように」という妻の言葉で、我にかえった。

この本を手に取り、レジに向かった。

レジの近くでは、次男が「おかあさんといっしょ」の絵本がほしいといって、聞かない。

こないだ似たような絵本を買ったばかり。

あきらめさせようと思ったが、しまいには「ギャー」と泣き叫び始めたので、テコでも動かないぞという意思を示してきたので、こちらがあきらめてその絵本も買うことにした。

 

家に帰って一気に本を読み終えた。

富田氏の考えや素行はともかくとして(彼の伝記だから良く書いてあるが)、軍人というのは、その考え方や行動力が並はずれている。

川北先生に何度も驚かされたのと、似たような匂いを感じた。

学者の作った監査法人が新日本監査法人なら、軍人が作った監査法人がトーマツ。

トーマツの社風が厳しいのはわかる気がした。

| | コメント (0)