監査法人

2008年7月22日 (火)

ドラマ「監査法人」 その4

金曜日は午前中に5月決算会社の税務申告書等の作成。午後からは顧問先を訪問。その後、ご来客が1件。

昨日の米子は最高気温が36.8度だったとか。どうりで暑かったわけだ。

各地で熱射病が相次いだというニュースがあったが、私はそろそろ日本人も夏のすごし方を変えないといけないと思っている。

私が子供のころの夏は、だいたい32度くらいが最高気温で、34度にもなればものすごい暑い日だという感覚だったと記憶している。

ところが今は35度を超える日も珍しくなく、昨日のような36.8度なんていうのもときどき出るようになった。

私がかつて旅行に行ったスペインでは、夏の午後に出歩く人はとても少なかった。シエスタという昼寝の習慣もあるのだが、40度にもなる暑い日中を避けて行動するという習慣が根付いていた。

日本では、未だに36.8度の灼熱の太陽のなか、鳥取砂丘に出かけたり、部活動に励んだり、お年寄りでもグランドゴルフをしたり、およそ熱帯地方の過ごし方とはいえない、日本がまだ温帯地方だった時代の習慣が根強く残っている。

日本は熱帯地方になったんだと割り切って、夏の暑い日には活動を抑えるようにして、別の過ごし方を考える必要があると思う。

前置きが長くなったが、先週の土曜日にNHKドラマ「監査法人」の最終回の放送があった。

最後は概ねハッピーエンドになっていたと思うが、先日、公認会計士協会の幹部が、若い人が業界で働きたいと思うようなエンディングにしてあるはずだ、と言っていた。

なるほど、これが悲しい結末だったら、若い人は誰も公認会計士になりたいと思わないだろう。

ドラマの中で私が印象に残ったのは、厳格監査がどうのという仕事の中身に関する部分ではなく、主人公・若杉が家族とのあり方、過ごし方について思いを改めていく場面だった。

今でも都会の監査法人では、深夜にいたるまで一生懸命仕事をしている若い会計士がたくさんいる。

若い一時期の過ごし方として否定はしないけれど、やっぱり家族との時間を大切にする生き方も考えておかないと、そのうちによりどころというものがなくなるように思う。

人の2倍働いて、収入もそれなりに多いのは当たり前だが、私が目標としているのは、家族と過ごす時間もきちんと確保して、その上で短時間でもきちんと稼げるビジネスマンになるということだ。

人生の時間というのは思ったよりも短いと思う。その短い時間で決して後悔しない生き方を、若いときからしっかり考えて過ごすことが大事だと思っている。

ドラマはそういう部分にも触れていたという点で、良かったのではないかなと思った。

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2008年7月15日 (火)

ドラマ「監査法人」 その3

昨日は午前中に5月決算会社の税務申告書の作成など。午後からは顧問先で打ち合わせ。

自宅から事務所へクルマで通う道のり、赤信号に1回も引っかからない日が2~3ヶ月に1回ある。

今朝がその日だった。小さな喜びだ。

土曜日21時からのNHKドラマ「監査法人」は、私の周りでも見ている方が結構いらっしゃる。

なかなかおもしろいという評判も多く、それはそれで良いことだと思うけれど、やはり誤解を招く演出や表現もあるようで、少々困っている会計士もいるようだ。

先日、東京で行われた公認会計士協会の委員会に出席したとき、懇親会でその話題が出た。

監査をしている会計士の中には、お客さんから「あなたの監査法人は厳格監査ですか?」と聞かれてしまうそうだ。

もちろん聞く人も半分以上冗談だろうけど、一番の誤解は監査という仕事に「厳格監査」と「そうでない監査」があるという誤解だ。

本来、監査は監査であり、厳格もくそもない。

その会計士は答えに窮し、「厳格監査とそうでない監査の中間です」と答えてしまったそうだ(笑)。そういう答えがまた誤解に誤解を重ねる結果となるのだろう(笑)。

ドラマは第5話まで進んだ。理事長が捕まったジャパン監査法人はエスペランサ監査法人と名前を変えて出直したが、次は大きな法人との合併話が持ち上がった。

このあたりの状況というのは、フィクションとはいえ、なんだか現実的にありそうな設定だ。

私が気になったのは、主人公の若杉が仕事が忙しくて家庭を顧みぬことができなくなったという事情が明らかになった点だ。

都会のビジネスマンなら少なからず忙しくて家庭を顧みることができない人もいると思う。

ただ、公認会計士の場合は、国家試験を受験するときに自由業のようなイメージを抱き、合格すれば楽しく充実した社会人生活が待っているような期待を持ってこの業界に入ってくる。

しかし、現実は多忙を極め、クライアントと大義名分の間に挟まれ悩むこともあるし、自分の仕事の意義を見失うことさえある。そういう意味で若杉が背負う悩みは、現実にあると思う。

最近、「ワークライフバランス」とかいって、仕事と家庭の両立を図ろうとする運動があるようだが、こうした運動というのはなかなか実を伴わないものだ。

しかし、家庭を大切にしたいというささやかな希望がどうやったら叶うのか、それぞれの職場で考えなければならないときが来ているのではないだろうか。

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2008年6月24日 (火)

ドラマ「監査法人」 その2

昨日は事務所で5月決算会社の税務申告書等の作成や、その他残務整理。

意外といったら何だけど、私の周りでNHKドラマ「監査法人」の評判がよい。

先週の土曜日は、野球中継が1時間以上も延長になり、放映時間がズレたので見られなかった方もいらっしゃるかもしれないが、複数の方から「面白かった」といわれた。

「ちょっと無理があるのでは?」と思うような設定や演出、大げさな表現などは、ドラマなので仕方がないと思うが、その分、おもしろくなっているとはと思う。

ドラマが始まると聞いて当初に思ったことは、監査法人の仕事の何がドラマになるのか?という疑問だった。しかし、なるほどこういう題材をドラマ仕立てにしていくのか、という「現実とフィクションの対比」がわかっておもしろい。

作家や演出家、あるいは脚本家というのは、日常のちょっと題材を上手に作品に仕上げていく人たちであるから、プロの手にかかれば面白いドラマとしても成り立っていくといことがわかる。

主人公の若い公認会計士が行きつけのバーに自分の子供を預けてあって、そこには同僚の女(松下奈緒)も来るし、監査法人の理事長もくる。そして、クライアントの経理担当の女性まできて、とても際どい話もしてしまう、そんなバーっていったい・・・。

と思うのだけど、まあ、そこは楽しんで見るべきだろう。

例えば、私たち公認会計士はクライアントに対して、仮に不適正な会計処理が見つかった場合でも、いきなり監査報告会で、「決算は承認できません!」と社長に言うことはないだろう。

まずは、十分に会社の担当者と話し合って、事前に修正を促すことから始める。でも、そんなのをドラマで描写していたらつまらないだろうから、いきなり「承認できません!」とバーンと言い切れば、視聴者は「(ガビーン)」と衝撃を受けておもしろい。

あと、例えば、ドラマの中であったように、クライアントの了解を得ないで勝手に調査をしたり、クライアントの一担当者が会社の極秘資料を勝手にもちだして監査法人側に渡し、しかもその資料を監査意見の証拠とするということもないだろう。

証拠資料を入手するのに、あんなハラハラする場面は現実にはないと思う。

監査は「査察」とは違うし、税務調査のような反面調査権もない。国家権力をもってする検査とも違い、あくまで民間人同士が行う任意の調査だから、資料の提出や現場視察の依頼について拒まれるようなら、まず、拒む理由をヒアリングして、その理由が合理的かどうかを確かめるだろう。

そういった細かい点で、結構、重要と思われる誤りはあるけれど、そんなことは気にしなくもいい。むしろ演出のうまさに「なるほど」と思わされる。

「クライアント」と「法」の狭間で板ばさみになる若い公認会計士の苦悩を描いているところは、ある話だと思うので、演出抜きで面白いと思う。

興味深いのは、ああやって日常のささいな出来事をドラマ仕立てにしていくテクニックだ。

たぶん昼ドラにしたって、「ありえないだろう」という設定でも、なぜかはまって次も見てしまうというのはあると思う。

ドラマの作成というのはとてもクリエイティブな仕事だと思った。

ちなみにアメリカでは粉飾決算のことを「クリエイティブ・アカウンティング」というが、こちらは犯罪なので、同じクリエイティブでもぜんぜんちがうのだ。

クリエイティブは犯罪だとして仕事をしている人間もいれば、クリエイティブこそ使命であるとして仕事をしている人たちもいるということは、興味深いことだと思う。

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2008年6月16日 (月)

ドラマ「監査法人」

金曜日は事務所で調べ物や残務整理など。

土曜の夜9時にNHKドラマ「監査法人」が放映された。

自分の業界のことがドラマになるというので、期待を不安をこめて見てみた。

医者や弁護士のドラマはよくあるのだが、公認会計士を扱ったドラマは今までなかったとい思うし、帳簿を見てチェックする仕事の一体、何をドラマ化するのだろうかと思っていた。

あらすじについては、上にリンクを貼っておいたので、そちらを参照していただきたいのだが、大まかに言えば、仕事の大義と現実の狭間に苦悩する若手会計士のことを描いた作品だ。

不正を働いている会社の監査を真面目に実行すれば、社会に対する責任は果たせるが、反面、会社の存続はおぼつかなくなり、ひいてはそこで働く従業員の雇用を不安定にしてしまう。

こういう局面というのは、ここ数年、少なからぬ公認会計士が直面した問題だともいえる。監査という仕事の一番難しいのはこうした局面だろう。

加えて、こうした厳しい局面にある会社では、真面目に仕事をする会計士は嫌われる。このドラマの主人公がまさにその立場におかれている。

いろいろな要因で会社経営が厳しくなってくると、財務をよく知らない経営者はほぼ確実に粉飾決算に走る。なぜかというと必ずそういうアドバイスをする人が回りにいるからだ。そして第一に銀行を騙し、上場企業ならば投資家をも欺く。これが悲劇の始まりになる。

だが、ここで財務をよく熟知している経営者は、財務の悪化を経営の再構築に利用する。日産のカルロス・ゴーン氏はこの代表だろう。

今回のドラマでは、銀行が会社の粉飾を公認会計士に密告したのではないかとい場面が出てきた。不正を働く会社には、味方と思われる勢力から必ず離反が起こる。

しかし、厳しいと思われるのは、そうした不正摘発の引き金を監査法人に背負わせるパターンだろう。このドラマではそうした現実が描かれようとしているのかもしれない。

いろいろな意味で、とてもよく出来たドラマだと思うが、それがかえってこの業界の難しさや矛盾点をあぶりだしているように思う。そうした点が興味深いかどうかは、それぞれの視聴者が判断することだろう。

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2007年6月15日 (金)

監査法人 その4

昨日は、午前中に研修の予習、その他残務整理。午後から鳥取市へ移動。3時から5時まで会計研修の講師。昨日は2回目。全10回、がんばっていきたい。

昨日から鳥取県地方は梅雨入りした。午後になると雨脚が強くなり、気温も少々肌寒くなってきた。夏場に水不足にならぬよう、この時期はしっかり雨よ、降ってください。

今日は監査法人についての第4弾。シリーズは今日で終わり。

会計監査の仕事を大きく変えた出来事といえば、2001年にアメリカでエンロン社が起こした不正会計事件だ。巨額の粉飾決算事件で会社は倒産し、監査を担当していた老舗の会計事務所アーサーアンダーセンも解散を余儀なくされた。

このあとに続くワールドコム事件(2002年)と合わせてアメリカでは「会計不信」と「監査不信」がうず巻き、株価は大きく下落した。

事件後の対応として、アメリカ政府は監査の強化と内部統制整備の法制化を打ち出したが、やがて日本でもカネボウ事件をはじめとする粉飾決算事件が相次ぎ、アメリカの後を追うように監査の強化と内部統制整備の法制化を行っている。

このとき常に「エンロン事件の二の舞を防がねばならぬ」と口をそろえて会計学者やコンサルタントの会計士たちが言うが、私はこの口実を信用していない。

基本的にメディアに大きく取り上げられる事件というのは、何らかの重要な秘密をカモフラージュするためのものであることが多い。そのときメディアは大衆の関心を大きくそらす役割を担っているのだが、エンロン事件で隠したかった真実が何なのか。なぜ、当時のエンロン社のCEOは、心臓発作で若くして死ななければならなかったのか。

これは推測するしかないが、一つは「アメリカの株式市場で絶好の買い場を作るため」であり、もう一つは「会計事務所業界の利益」のため、ということが考えられる。

事件の推理でもそうだが、「誰が結果的に利益を得たか?」という問いが一番重要だ。エンロン事件という不正会計事件で結果として巨額の利益を上げたのは、「会計不信」を機に大きく下落した株を買った投資家であり、もう一つはその後の監査強化で仕事が大幅に増えたアメリカの会計事務所だ。

少ない情報から推測すると事件そのものは当初から仕組まれていた可能性が高い。予め結果を想定してその結果をもたらすプロセスを作る手法は、アメリカ人のお家芸だ。彼らはいつも何かの事件で大きく株価を落としてから買いにくる。日本人投資家はいつも、事件が起きてから売り、株価が上がってきてから買いに行くので、外国人投資家のカモになっている。

会計監査は、時にそれを強化することで株式市場に混乱をもたらし、そのことを予め知っている投資家に絶好の買い場を提供する。それが世界の秩序を作っているニューヨークの金融資本が創設した会計監査の真の役割なのだろう。

現場でまじめに働いている会計士にとってはいい迷惑だが、おそらくこれが真実なのだろう(もちろん、信じたくない人は信じなくていい)。特に最近は、「収益還元価値」による評価方法を用いた会計基準が増え、将来見通しのさじ加減一つで利益が大きく変動するケースがたくさん出てきている。

会計監査をちょっぴり強化すれば、優良企業でさえもいいように会社の価値が下げられている。そして、それを予め知っている投資家に絶好の買い場を提供する。

昨年のライブドアショック以降、日本の新興市場においては「会計不信」が続いており、株価は低迷したままであるが、今、新興市場の株を外国人投資家が物色しているという噂がある。

会計不信で下がった株は「買い」だ。セオリーどおりなら、日本の新興市場の株価はこの後、上がっていくだろう。

以上でこのシリーズは終わりです。

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2007年6月14日 (木)

監査法人 その3

昨日は、午前中に顧問先を訪問。午後から事務所で研修のレジュメ作り、山陰経済新聞への寄稿記事の原稿書きなど。

夕方、フィットネスクラブへ行こうと思ったところで着替えのTシャツを忘れたことに気がついた。2日前に汗をかいて着替えたTシャツを袋にいれたまま車の後部座席に放置してあり、日差しが強かったこの2日間を考えると、「もう一度着よう」ということにはならず、「失敗した~」と思って、結局、フィットネスクラブへ行くのを断念した。

さて、今日は監査法人の第3弾。

公認会計士の主力業務である「会計監査」の業界には、昔から外資系事務所の参入圧力があった。それを私の師匠である川北博先生が会計士協会の会長であった時代(昭和50年代後半)に「緩やかな提携」という形でしのいできた。

同じく弁護士業界でも、外国資格による参入圧力があり、日本に対する外交圧力を表した文書といわれる年次改革要望書の中にもそれは織り込まれていた。

しかし、決定的な参入障壁は、他でもない「日本語の壁」だった。外国の資格で日本で仕事をしようとしても、実際には日本語の「て・に・を・は」まで完璧な文章の読解と作成ができるわけではない。

そこで、彼らは戦略を変更し、現場の業務はもっぱら現地人(日本人)にやらせて、上からライセンスフィーなど様々な形で収益を吸い上げる方針に変えてきた。

これは大手の法律事務所が大合併を行い、こぞって外資系ファームと提携しているのもまったく同じ構図である。

しかし、何もない中でこうした急激な業務提携は進まない。監査法人の場合は、仕掛けられた(?)スキャンダルが次々に露呈させることと同時に金融庁へのロビー活動を活発化させ、金融庁の統制の下、国内の監査法人と外資系ファームの業務提携は一気にすすんだ。

監査法人のマニュアルは、いまや提携先の外資系ファームの英語文の直訳になっており、それは裏を返せば業務上もっとも重要なノウハウはすべて提携先の外資系ファームが握っているということでもある。そしてそのマニュアルの使用料はかなりの高額にのぼるとある幹部から聞いた。

いずの日か監査法人のマニュアルは日本語に翻訳しないで英語のまま使わせるという計画があるそうで、監査法人のスタッフはパートナーも含めて皆、TOEICの受験を強制される。

これを「乗っ取り」といわずしてなんといおうか。

今にして思えば、わが師・川北博先生がかつて率いた監査法人トーマツは、外資系的な運営を行う実験的な監査法人だったのかもしれない。トーマツと青山監査法人(当時)だけが昔から外資系的な発想で運営を行っていたが、その他の国内系監査法人も結果的にそうなりつつある。

師匠は日本人ではじめて世界のメンバーファームのグループ(DTTI)のトップとなった人物であるが、それは巨大市場である日本を取り込むための実験的な試みではなかったかと、たとえ師匠がお認めにならなくても私の目にはそう映ってしまう。

もう一つ、外資系のコンサルティング事務所や法律事務所、投資銀行などは、外国の情報工作員の隠れ蓑になっているという噂がある。もちろん、監査法人もであるが、もし本当だとするとすでに「外資系」となりつつある監査法人が収集した情報は、本国へ筒抜けになってしまう可能性にもよく留意しておかなければならない。

今はデータを電子化し、権限を持つものはサーバーへ自由にアクセスすることができる。会計監査を通じて集めた日本企業の情報が、情報工作員に漏れるなどということはあってはならないことだが、やろうと思えば可能な状態になりつつあることも指摘しておかなければならない。

志ある監査法人の幹部の中には、こうした事態き気づき、なすすべなく日々の業務に打ち込んでいる方もおられる。

ただ、私はこういう事態を決して過度に悲観したり、ましてや絶望をしてはいけないと思っている。むしろ前向きにとらえ、新しい監査の業態を作り上げるくらいの気勢で仕事に取り組まなければならないと思う。

明治維新の志士たちは黒船の襲来を受け止めつつも、換骨奪胎し、西洋の仕組みを日本的な味付けに直して切り抜けた。

富の豊富な日本は、常に外国からの収奪にさらされる運命にあるが、そのたびにさらに良いものに変えてきた。その心意気を現代の日本人も持たなければならない。

さて、相次いだ監査法人の不祥事と現在も続く新興市場の「会計不信」。この背景に何があるのか、投資家でなければ見抜けない視点で次回、簡潔に論じてみたい。

つづく。

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2007年6月13日 (水)

監査法人 その2

昨日は、研修レジュメの作成、業界誌の読み込みなど一日中事務所で仕事。夕方、本屋へ行って専門書の仕入。

最近は本の購入は、すっかりアマゾンに頼ってしまっているが、たまには本屋へ出かけて自分の目で見て購入することも必要だ。久しぶりにゆっくりと見て回ったが有意義なひと時だった。

梅雨入りを前に背景を変えてみました。引き続きご愛顧ください。

今日は監査法人についての第2弾。

私が平成8年に新日本監査法人(当時の太田昭和監査法人)に入所したときのトップからの訓示で、「法益産業(=法律に守られた産業)といわれているが、常に努力してサービスを磨き社会から支持される監査法人を目指そう」という話があった。

私は当時の話の中のこの部分だけを今でもはっきり覚えている。会計監査という仕事は法律に守られてほとんど競争のない中で行われている。そうした仕事は普段からしっかりとした信念を持っていないと堕落しやすい。

監査法人は、一時期、不景気と大手法人同士による競争の激化で収益力を落とした時期がある。2001年ごろから2005年ころだろうか。その当時の監査法人内には、いかにして自分たちのサービス品質の優秀さ、それに対するコストパフォーマンスを維持するか、真剣に考えている人たちがけっこういた。

ただ、ここへきて先週の話ではないが、監査難民が大量発生しかけている状況で、契約が監査法人側の言い値で決まっていく状況が発生している。それによって既存の監査法人は空前の好景気、人手不足になっている。

この状況でサービス品質、コストパフォーマンスについて真剣に考えてきたことが一瞬で崩壊したのではないかと私は危惧している。つまり、10年前に当時のトップが話していた「法益産業」の負の部分が出てはいやしないかという危惧である。

この業界がいくら好況だといっても、それはあくまで法律に守られたものであって、自分たちのサービス品質が格段に向上したわけではない。むしろ、マニュアル監査の普及によって品質が落ちている可能性もある。

サービス産業として、社会のニーズ、顧客企業の満足などその品質を追求していく姿勢がなくなり、法に基づいて仕事をこなすだけの仕事になったなら、そこから急速にサービス品質の低下が起きること注意しなければならない。「法益産業」と揶揄された10年前の状況は基本的に今も変わっていないのだと思う。

もちろん、現場の当事者たちにはそんなことを言っていられない事態が発生していることも事実である。現場の会計士は業務に忙殺され、理想を追求する暇などない。

そして、監査法人自体が「黒船」の襲来で為すすべなく漂流している。この業界は、外資系事務所に完全に乗っ取られつつあることもまた事実であろう。

つづく。

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2007年6月 5日 (火)

監査法人

昨日は、一日中事務所で書類の整理、請け負った研修の資料づくりなどをやっていた。

最近、「監査難民」という言葉を新聞や雑誌で目にすることが多くなった。先週の習慣ダイヤモンドの第二特集がそうだったし、先週、金曜日の朝日新聞にも大きく載っていた。

監査難民とは、大手監査法人の一つであるみすず監査法人(前中央青山監査法人)が解散することにともなって、新しい契約先が見つからない上場企業のことなどを指す。

三洋電機がそうだったが、ここへきて中堅の監査法人が引き受けることになり、ことなきを得たが、ニュースにならないところで、まだまだ攻防がありそうな様子だ。

これは、監査に係る不祥事が連発したことで、会計監査という仕事が審査体制の整備など大人数でないと対応できないような仕事になったことによる。金融庁の検査に対応するだけでも膨大な時間をかけて書類を作成しなければならなくなった。これを中小の事務所で対応しようと思えば、非常に難しいといわざるを得ない。

私は、2001年に新日本監査法人を退職した後も、米子に帰省してから、非常勤契約を結び、業務の手伝いをしてきた。この5年間、外からほどよい距離で監査法人の変化を見てきたが、この5年間だけでも監査法人は大きく変わった。

一番変わったのは仕事の進め方で、誰が担当しても品質が維持できるようにマニュアル化が進んだ。その狙いはわからぬではないが、この仕事は、人と人とが協働して行う仕事である。誰がやっても同じ品質といっても、お客さんの側から見れば、なじみの公認会計士がある程度の期間、長くやってもらったほうが対応しやすいだろう。

会計士側も、形式的に資料の提出を依頼するから、会社と監査法人の関係はどんどんドライになって仕事そのものに潤いがなくなっている。

この「潤い」というものが、「監査人の独立性の阻害」ということで、問題になったこともあり、いまさらそういうことを言う余地もなくなっている。

それから、マニュアル化が進んだことによって、若手の会計士にとって仕事の魅力が薄れているのも事実だ。何のために苦労して難関試験を突破してきたのか、マニュアルをこなすために試験に合格したのではない、という雰囲気が若手の間に漂っている。

私が就職したころはまだ、「自分で考えてやれ」という指導がなされていた。これが私にとって自分を大きく飛躍させるきっかけになった。事前の予習をしっかりやって、現場でどういう対応をするか、自分の頭で考えることで20代の伸び盛りのときにしっかり鍛えられたと思う。

しかし、今の若手が現場で考えるべきことは、いかにしてマニュアルをつぶすかだ。これは若手にとっては物足りないと思うし、私が経験したことから比較すれば少々気の毒に思う。

監査法人が変わったこと、変わりきれなかったこと、気づいたことを少しだけ書いていこうと思う。

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