金曜日は、午前中に事務所で山陰経済新聞の原稿書きなど。
午後は、諸々の調べ物。
4時過ぎに、ダラズFMの金ダラDXの経済のコーナーに出演。
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【人類資金】
連休に、時間を見つけて、映画を見てきた。
「人類資金」。
戦争中に日本軍がアジア各国から略奪してきた金銀財宝の存在。
「山下財宝」などと呼ばれて、一時、話題になったこともあるが、その存在についてはよく知られていない。
この金塊は、戦後しばらく、フィリピンの山中に秘匿され、日本の戦後復興の様々な財源として使われたという話がある。
確かに、何の担保もなしに、IMFや世界銀行が日本にポンポンお金を貸してくれたというのなら、何か裏がありそうだが、この財宝の力があったのかもしれない。
逆に、単なる「見せ金」(あると見せかけて、実は無いお金)だったら、それはそれでおもしろい。
小野田少尉が、戦後、ずいぶん経ってから、フィリピンの山中から出てきたというニュースがあった。
「終戦を知らなかった」というのが、フィリピンから帰ってこなかった理由だそうだが、この方は陸軍中野学校の将校だった。
中野学校といえば、スパイ養成の超エリートが集まるところだ。
「終戦を知らなかった」という話は、にわかに信じがたい。
財宝を隠していたフィリピンで、その管理を任されていたという話もある。
その後、ブラジルに渡って、日本人の前に姿をほとんどあらわさないのも、こうした仮説を裏付けるかのようだ。
あるいは、アメリカの裏庭であるブラジルで、北米情報の収集にあたらせたのかもしれない。
日本は、ブラジルに移住した人たちのネットワークを通じて、アメリカの情報を収集し、日本が直接収集した情報と、クロスチェックしている、なんて話もある。
小野田さんって、いったいどんな役割を負っていたのだろう。
前置きが長くなった。
人類資金という映画は、この秘匿された財宝の噂を映画化したものだ。
紙幣という、紙切れに価値を持たせるには、その発行体(=国)の信用が必要になる。
信用がなかった終戦直後の日本が、この資金(映画ではM資金と呼んでいる)を使って、戦後復興の礎を築いてきたという。
この資金は、人類繁栄のために使ってほしいという願いをこめて「人類資金」と呼んだ。
これから見る方のために、中身には触れないが、日本が密かに保有する(といわれる)巨万の富の存在を大いに感じさせてくれるリアリティがあった。
原作を書いた福井晴敏という作家は、「亡国のイージス」などでも、リアリティあふれる日本の危機を描いていたが、今回も、「ありそうだけど、実際はどうなんだろう」という、空想と現実のすれすれのところを見事に描いていたと思う。
「信用(クレジット)とは何か?」
「資本主義とはなにか? そして、その限界は?」
これらのテーマを映画を通じて勉強させてくれる。
タメになる映画だと思う。