撤退の難しさ
金曜日は、午前中に事務所で10月決算法人の税務申告書等の作成など。
午後から、鳥取県庁で監査委員の仕事。
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【撤退の難しさ】
11月の下旬から、NHKで「坂の上の雲」のドラマをやっている。
私は小説を読んだので、ドラマのほうはじっくり見ているわけではないが、それでもよくできたドラマだと思う。
昨日は、日清戦争のシーンが続いていた。主人公の一人、秋山好古は、戦場で騎馬隊を率いながら、敵国の襲来に撤退を決意するわけだが、そのとき、「戦争では撤退が一番難しい」というようなことを言っていた。
坂の上の雲の小説を読んだとき、「撤退の難しさ」が一番、私の印象に残ったと言っても過言ではない。
撤退するときというのは、形成が不利な場合が多いのだが、もともと戦うために訓練した軍隊を撤退させることは、士気の低下にもつながるし、追撃してくる相手方に背を見せながら移動することは、部隊の被害拡大にもつながりやすい。
しかし、撤退がうまくいけば、被害を最小限にとどめることができ、次なる展開での形成逆転を期することも可能となる。
これは、企業経営でも同じこと。経営上の損害をいかに小さくまとめるかは、撤退の巧拙による。撤退がうまくいかないと、行くところまで行ってしまい、次なる挽回のチャンスをも失いかねない。
経営戦略を練るときには、万が一に備え、経営がうまくいかなくなったときに、いかに撤退するかまでを考えておくことが重要になる。
そもそも「経営戦略」には、本当の戦争で必要になる戦略論の多くが応用されている。
だから、下手な経営戦略の本を読むよりも、「孫子の兵法」を読んだほうが応用が効いて役に立つ。
坂の上の雲の面白いところの一つに、こうした実際の戦争で登場人物がそれぞれの立場で、いかに戦争に負けないかを考え、訓練と戦略を積み上げていくところがおもしろい。
坂の上の雲については、司馬遼太郎がいったい何を描きたかったか、なぜ彼が生前に、これらの小説を映像化することを拒んだのか、推測をこめて書いておきたいことがあるが、長くなるのでまたにしたい。
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コメント
今の世の中は変化激しく ひとつのビジネスモデルは五年ともたない。軽い体で投資効率の高いスタイルが理想。撤退しやすい経営とは、ある意味では最高の機動性を有すると言えますね
投稿: 会社員 | 2009年12月21日 (月) 14時38分
>会社員さま
特に右肩下がりの時代には、不安定な経済環境の中、会社経営を舵取りすることになります。
変化も激しいですから、うまく行くことを願いつつ、一方で、うまく行かなかったときを想定することも、最低限の備えとして必要なのかなと思っています。
投稿: 伊木隆司 | 2009年12月21日 (月) 18時19分