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2009年11月19日 (木)

行政のやるべきことは

昨日も県の監査委員の仕事で、西部地区の外郭団体などを訪問。

午後、事務所に戻って、9月決算会社の税務申告書等の作成。

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【行政のやるべきことは】

監査委員の仕事も、4年の任期のうち3年目に入っている。

県内のいろんな機関を回らせてもらって、行政が地域で果たしている役割について、いろいろと考えされられる。

行政関係者でない、多くの一般市民は、税金の使い道の無駄を省くことを望んでいるわけだが、何が無駄かという話は、そんなに単純なことではない。

一般に誤解されやすいのが、民間的発想による「採算性」である。「採算が取れないから、事業は廃止すべき」といった論はよくあるが、そもそも採算が取れるなら民間企業がやるだろう。

採算が取れないから行政がやっているわけで、問題は、採算が取れなくてもやるべき仕事なのかどうか、という観点だ。

しかし、これは「教育」とか、「将来への投資」など、そのときの政治姿勢によって、だいぶ変わってくる。また、表向きの議論と裏に潜む重要な思惑が異なる場合もあって、一慨に言えない話が多い。

一つの例として、JALの再建問題がある。

たぶん、デューデリ(詳細調査)してみて、「こんなに悪かったのか」という感想を民主党関係者は持ったのではないだろうか。

例えば、地方空港にJALの路線が就航するとする。そこには、空港を運営する会社やそこに納入する業者などができる。

地方路線は必ずしも採算が取れるわけではないので、路線によっては、地元の自治体から補助金がでる。その補助金を出すことは、地方議会で決まることなので、そこに何らかの利権が産まれるのは必然。

JALの場合は、ANAと違って、そうした話が多いと聞くから、潰すとなると、利権が全部消滅する。そこで、国費を使って、自民党利権を民主党利権に転換しようという思惑が働く。

航空需要は、この不景気でどんどん失われているという。旅行客が減って、企業の出張も減っているのは世界共通のことであり、航空産業は縮小している。

インターネット回線を通じたテレビ電話が普及しているので、企業の出張需要は、完全に回復することはないだろう。

こうした産業に、どれだけの税金を投入するか、ある意味で見ものなのだが、そこへ、アメリカの航空会社から資金援助が来ているので、「うまくやった」と見るのか、それとも「日本を代表する航空会社が買収される」と見るのか、今はまだわからない。

政治や行政のやることというのは、民間人にはなかなか理解しがたいところがあるものだ。

ただ、こういう話が、なかなかに奥深くて面白いと思うから、私は監査委員の仕事を楽しんでやれるのだろう。

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コメント

興です。先日は色々とご教示いただき、ありがとうございました。

さて、行政の事務事業の問題ですが、青臭い話かもしれませんが、私は採算性というのは重要だと思っています。問題は、同じ赤字の事業でも皆が納得できるかどうかだと思います。つまり、民意です。赤字でも止む無しと皆が納得するのであれば、その事業は公共性を果たしているわけですから、赤字でも存続させるべきでしょう。しかし、一部の人しか便益を享受できない事業は皆の納得を得られないと思います。そうした事業については行政がやるべきではない。やはり民間に任せるべきです。しかし、所詮赤字なのですから、民間でもやらないでしょうね。その場合には、ソーシャル・ビジネスで行うのも一つの考え方かもしれません。

何れにしても、本文中で言及されている様な「癒着」とか「利権」云々の話は、事業存続の意思決定の際には排除すべきではないでしょうか。特に地方自治体の場合には、国とは違って赤字債の発行は許されていないのですから。

投稿: 興 | 2009年11月19日 (木) 14時00分

採算とは定量のみならず定性含め世のため人のために役に立つことかと言う点だと・・。

投稿: 会社員 | 2009年11月19日 (木) 15時06分

興さま

まったくその通りでありまして、行政の場合は、「利益」ではなく、「便益」(ベネフィット)がコストを上回るかどうかが、事業の可否判断の材料になります。(これを行政用語で、「B/C」(ビー バイ シー)と言います)

しかし、この「便益」というのがくせものでして、民間企業のように「収入」では計れず、「利便性の向上」だとか、「活性化につながる」みたいな話で無理やり金額に直して算定しているのが実情です。

こうした指標には、恣意性が入る余地があって、そこがいわゆる、「利権」などの入り込む余地になっています。
道路を作る際の採算性を考えるとわかりやすいかと思います。

そこで「利権」とか「癒着」という言葉のイメージが悪ければ、「強い意志」とか、「声の大きさ」とか言ってもいいかもしれませんが、選挙によって多数を占めるようになると、これが実現しやすくなるというものです。

民主党が政権をとって、自民党を支えて来た人たちの意志は通りにくくなっていますが、逆に民主党を応援してきた人の意志は通りやすくなっています。「民意」とは何かを考えると、選挙で勝つことは、いろいろな事業を進めていくうえで重要だというのが一つの結論になるかと思います。

投稿: 伊木隆司 | 2009年11月19日 (木) 18時38分

会社員さま

その通りです。
ただ、それが人によって捉え方がまちまちでして、例えば、道路一つとっても、「道路がつけば、便利になって産業が活性化する」と考える人もいれば、「環境が破壊されるし、金の無駄。教育に使え」という人もいます。

定量化できないだけに、その「質」の判断は、やっぱり声の大きな方が勝つことになります。

だから、できるだけ、機会を見つけて、政治に興味をもって、政治家に対して訴えるべきは訴えておくことが必要なのだと思います。

投稿: 伊木隆司 | 2009年11月19日 (木) 18時44分

この議題はあまりにコアで永遠のテーマなのでしょうテレビのドラマで「利益、金になることには何もしなくても人がすぐ群がる。そうではなく損得抜きに道を伝承することは尊いことである」感動に震えました。

投稿: 会社員 | 2009年11月19日 (木) 21時10分

興です。確かに先生の言われる通り、議会制民主主義の下では、「民意」は議員によって代弁されるのかもしれませんが、選挙によって選ばれた議員の意見が本当に民意を反映しているのかは難しい問題です。今回の総選挙では所謂55年体制が崩壊したわけですが、万年与党の自民党政治の下では特に角栄氏率いる田中派が強い力を持って以降、政治が金や数の論理で動いたきた面が否めず、真に民意が反映された政治が行われてきたとは言えなかったのではないでしょうか。

私がここで「民意」と言っているのは多分に「市民セクター」を意識したものですが、確かに日本では政府や企業に比べて、市民セクターが弱いですね。そうした中で、地方自治では自治基本条例を制定する動きも出てきていますが、これもまた議会の議決を経なければならないので、なかなか難しい面があります。ただ、何れにしても議員だけには任せておけないという意識は少なからず市民の間で芽生えてきているのではないかと感じています。

投稿: 興 | 2009年11月19日 (木) 22時08分

会社員さま

おっしゃるとおりで、これは「考え方」の問題であり、「思想」「信条」が関係しますから、なかなかみんながよいと思える答えを出すことができません。
結局、「答え」は自分で出すしかないということだと思っています。

投稿: 伊木隆司 | 2009年11月20日 (金) 19時15分

興さま

今回の衆院選挙で民主党が勝ったことは、「市民」の勝利だったのだといえると思います。
今までは業界団体や企業を代表する人たちが自民党を支持し、与党として政府事業を差配してきました。
それが証拠に、民主党は企業・団体への支援をすっ飛ばして、市民(個人)に直接、給付を与える政策をとっています。

ただ、究極的には市民の利益と企業・団体の利益は、一致させなければいけない。
どちらかが富んでも、どちらかが貧しくなるようではバランスが取れません。

今後の民主党の政策は、企業・団体の利益と市民の利益をどうバランスをとるかに注目がいくと思っています。

投稿: 伊木隆司 | 2009年11月20日 (金) 19時20分

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